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ポータブル電源にPSEマークがない理由は、製品の分類にあります。

AC100V出力を備えた製品は「蓄電池」ではなく「電源装置」扱い。電気用品安全法(PSE法)の対象外になっています。

「PSEマークがないのは危険では?」と感じる方もいるかもしれません。

ただ、国際認証やメーカー独自の安全基準によって、多くの製品は安全性を確保しています。

この記事では、PSEマーク不要の法的背景と、実際の安全性の考え方を整理しました。

「信頼できるメーカー」を見極めるチェックリストも用意しています。

結論:「蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流100Vを出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、PSE法の対象外1

京寺美里(Kyodera miri)
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PSEマークとは?2つの種類と仕組み

PSEマークは「Product Safety Electrical appliance & materials」の略称です。

電気用品安全法2に基づき、電気製品の安全性を担保する制度として機能しています。

マークには2種類あります。

PSEマークの二種類と法的解釈
PSEマークの二種類と法的解釈

PSEマークの二種類と法的解釈

菱形PSEは、危険性が高い特定電気用品に付けられるマークです。ACアダプターや電気ヒーターなどが該当し、第三者機関の検査が必須となります。

丸形PSEは、比較的安全性の高い製品に使われるマークです。テレビ、冷蔵庫、スマホのモバイルバッテリーなどがこちらに分類されています。

表1:PSEマークの分類

カテゴリーリスクレベル適合性検査対象製品の例
菱形PSE特定電気用品第三者機関による検査が必須ACアダプター、電気ヒーター、電線、ヒューズなど
丸形PSE特定電気用品以外の電気用品自己適合宣言が可能テレビ、冷蔵庫、モバイルバッテリーなど
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なぜポータブル電源はPSEマークの対象外なのか?

経済産業省の「電気用品安全法のページ」に、明確な回答があります。

「蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流100Vを出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、PSE法の対象外」

2019年、小型リチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリー)がPSE対象に追加されました。
しかし、その定義は「直流出力(DC)の蓄電池」に限定されていたのです3

AC出力(家のコンセントと同じ交流電気)を持つポータブル電源は、法律が想定していなかった製品でした。

簡単な用語解説

  • AC出力(交流)→ 家のコンセントと同じ電気。ドライヤーや炊飯器などの家電に使います。
  • DC出力(直流)→ USBなどの電気。スマホやノートPCなどの充電に使います。

表2:PSEマークの適用範囲:モバイルバッテリー vs. ポータブル電源

特徴モバイルバッテリーポータブル電源(本体)
主な出力直流(DC)交流(AC)
PSEマーク表示の義務あり(丸形PSE)なし(本体としては)
規制・免除の理由直流出力の「蓄電池」として分類されるため交流出力が可能であり、「蓄電池」として分類されないため
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モバイルバッテリーよりもはるかに大容量のエネルギーを持つ製品なのに、公的な認証が不要

消費者保護の観点から、この矛盾は大きな課題といえるでしょう。

図:この章のまとめ PSE問題の本質

なぜ?ポータブル電源にはPSEマークがないの?

「PSEマークなし=危険」は本当か?

PSEマークがないという事実は、不安に感じて当然です。

国の安全基準への適合義務がなく、第三者機関の検査もない状態を意味するからです。では実際に、どのようなリスクがあるのでしょうか。

増加する火災事故の実態

2017年以降、全国で少なくとも29件の火災現場からポータブル電源が発見されています。その数は年々増加傾向にあります。4

ポータブル電源の隠れた危険性:火災・爆発 最新ニュースと事故を防ぐためのガイド
ポータブル電源の事故件数

被害は深刻です。

2021年1月、横浜市の合同庁舎で充電中のポータブル電源が発火。厚生労働省の事務所の一部を焼損しました。

同年5月には木造住宅で夜間に出火し、住人が火傷を負う事故も発生。約4年間で被害規模は拡大しています。

リコールも複数出ています。

表:ポータブル電源関連 主要リコール概要

メーカー名主な対象製品シリーズ/モデル主なリコール理由リコール発表の主な時期主な対応措置
EcoFlow Technology Japan株式会社EFDELTA火災事故の発生、リチウムイオン電池の不具合の可能性 2023年10月、2025年2月回収・交換
株式会社C&CiRoomポータブル電源 ZXK-620重大製品事故(火災)の発生 2024年2月無償交換
SUNVIC合同会社SUPAREE ポータブル電源、SUNVICポータブル電源 (UA1101, UA551)火災事故の発生(原因特定に至らず) 2024年11月回収・返金
株式会社JVCケンウッドポータブル電源 BN-RB3-C, BN-RB5-C, BN-RB6-C の付属電源コード付属電源コードが非二重被覆のため 2019年11月電源コード交換
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発火事故の原因や詳しい経緯は、「ポータブル電源の火災事故一覧」にまとめています。各事故の状況や教訓を確認しておくと、製品選びの判断材料になるはずです。

なぜ事故が起きるのか:リチウムイオン電池の構造的リスク

リチウムイオン電池は、プラスとマイナスの電極を薄いセパレータ(膜)で隔てた構造です。

内部には可燃性の有機溶剤が満たされています。

リチウムイオン電池の構造図
リチウムイオン電池の構造図

衝撃で内部が破損し、電極同士が接触すると急激に発熱。内部の溶剤が気化し、引火するリスクがあります5

特に危険な現象が「thermal runaway(熱暴走)」です。

セル内部でショートが起きると高熱が発生し、電池材料が分解してさらに熱を生む連鎖反応が始まります。

小さなセルでも最終的に可燃ガスを噴出し、激しく燃焼する場合があります。

安全装置としてのBMS

ポータブル電源にはBMS(バッテリーマネジメントシステム)が組み込まれています。

過充電・過放電・過電流・過熱・短絡を検知すると、自動的に回路をシャットダウン。これが熱暴走を未然に防ぐ最後の砦といえます。

図:この章のまとめ リチウムイオン電池の危険性とBMS

リチウムイオン電池の構造的リスクと熱暴走のメカニズム
リチウムイオン電池の構造的リスクと熱暴走のメカニズム

それでも事故が起きる4つの要因

BMSがあっても事故が発生する主な要因は、次の4つです。

  1. BMS自体の故障や設定不良:安全装置そのものが機能しなければ意味がない
  2. 想定外の使用条件:極端な高温環境、水没や落下後の継続使用
  3. 水濡れによる内部ショート:防水性のない製品は特に注意
  4. 粗悪な製品の品質不足:BMSやセル自体に欠陥があるケース

経済産業省の調査では、日本の規格に合わない出力120V・周波数55Hzの機種も確認されています。

また、ひずみの大きい疑似正弦波で家電を故障させるおそれのある製品も存在します。6

業界の深刻さを示す事例もあります。

あるメーカーが2018年にリコールを実施したものの、回収前の製品が市場に残り続けました。

翌2019年には全国で10件近い火災事故が発生。その後、メーカーは市場から姿を消しています。

安全なポータブル電源を見極める5つのチェックリスト

PSEマークに頼れない以上、消費者自身が安全性を判断する必要があります。

ここでは、購入前にチェックすべき5つのポイントを整理しました。

1. 電池の種類を確認する

ポータブル電源に使われる電池は、大きく3種類に分かれます。

リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池は、現在最も安全性が高い選択肢です。

熱安定性に優れ、熱暴走が起きにくい特性があります。寿命は3,000〜4,000サイクルと長寿命。最近は主要メーカーの多くがLFPに移行しています。

リン酸鉄リチウムイオン電池の特性や寿命のメリットについては「リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源|安全性と寿命のメリット・注意点」で詳しく解説しています。

三元系(NMC/NCA)電池は、エネルギー密度が高く軽量。ただし、LFPよりも熱暴走リスクが高い点に注意が必要。寿命は500〜1,000サイクル程度です。

ナトリウムイオン電池は、発火リスクが極めて低い次世代技術。BLUETTIなど一部メーカーが製品化を始めています。今後の普及が注目される分野です。

ナトリウムイオン電池の仕組みやリン酸鉄電池との性能差は「ナトリウムイオン電池とは?リン酸鉄との違い・メリット・2026年の実用化動向」で解説しています。

2. 国際認証の取得状況を確認する

ポータブル電源の国際認証

PSEマークが対象外でも、国際的な安全認証は存在します。

UL認証(米国)は、ポータブル電源向けの安全規格UL 2743をカバーしています。取得にはバッテリーの発火試験や異常充電試験などをクリアする必要があります。

CEマーキング(欧州)は、欧州経済領域で販売するために必要な認証です。電気安全性と電磁波対策の基準を満たしていることを示しています。

FCC認証(米国)は、電磁波に関する認証です。電気的な安全性とは異なりますが、製品がきちんと試験を受けている証拠にはなります。

複数の認証を取得しているメーカーほど、安全への投資が大きいと判断できるでしょう。

3. メーカーの信頼性と透明性を確認する

認証の有無だけでなく、メーカーの姿勢も重要な判断材料です。注目すべきポイントは3つあります。

1.日本法人や正規代理店があるか。

問題が発生したとき、国内に窓口がなければ対応は期待できません。

2.テスト体制を公開しているか。

振動・落下・温度サイクルなどの試験実績を公表しているメーカーは信頼度が高いといえます。

3.リコール対応の実績はどうか。

問題が起きたとき、速やかに対応するメーカーかどうか。過去のリコール事例を確認しておきましょう。

4. 第三者認証の取得を確認する

国際認証に加え、日本独自の任意認証も信頼性の指標になります。

S-JET認証は、一般財団法人日本電気安全環境研究所(JET)による認証制度7です。PSE法よりも厳格な安全基準で審査され、工場の品質管理体制も評価対象となります。

Sマーク認証は、電気製品認証協議会(SCEA)と日本品質保証機構(JQA)が2024年6月にポータブル電源向けの追加基準を制定した認証8です。

防災製品等推奨品認証は、防災分野での実用性と安全性を評価する認証9です。災害時の使用を想定している方にとっては、特に重要な指標でしょう。

5. ACアダプター内蔵型の注意点を知る

最近のポータブル電源市場で見逃せない変化があります。ACアダプターを内蔵したタイプが増えているのです。

従来は、本体とは別のACアダプターで充電していました。このACアダプターにはPSEマーク(菱形)の表示義務があり、安全性の一つの目安になっていました。

しかし内蔵型では、充電回路が本体に組み込まれています。付属品は単純な電源ケーブルだけ。このケーブルにはPSEマーク表示義務がありません。

つまり、本体もケーブルもPSE対象外という状態が生まれています。安全性を確認する唯一の手段は、上記1〜4のチェックポイントに頼るしかないのが現状です。

図:この章のまとめ ポータブル電源業界の安全性に関する動き

ポータブル電源業界の将来展望

主要メーカーの安全性への取り組み

「どのメーカーなら安心なのか」。これは多くの方が気になるポイントでしょう。

PSE法の対象外だからこそ、メーカー自身の安全設計と第三者認証が判断材料になります。

主要5社の安全面における特徴を整理しました。

Jackery:長期検証実績と業界初の包括的基準

国内でもっとも知名度の高いポータブル電源メーカーの一つです。

国連の輸送安全基準UN38.3、欧州のCE、米国のFCCなど複数の国際認証を取得しています。防災製品等推奨品認証も取得済みで、振動・落下・温度サイクルの各種試験結果も公表。

2024年には業界初となる包括的な製品安全基準を発表しました。

バッテリーセルの化学的安全性にとどまらず、基板設計、筐体の難燃性、システム全体のフェイルセーフ構造を体系化した内容です。

安全性を重視した製品開発の実績は、6年間の検証経験を通じて実感しています。

Jackeryの独自基準については「ポータブル電源メーカー Jackeryが、業界初となる包括的な製品基準を発表」をご覧ください。

パワーバンクスとしては、もっとも安全性対策が進んでいるメーカーであると認識しています。

EcoFlow:X-Guard BMS 2.0による能動的な防御

UL認証やCEマーキングを取得し、JPPSAの設立メンバーでもあります。

安全面での中核技術は、独自開発の「X-Guard BMS 2.0」

稼働中24時間体制で40項目の安全指標を常時監視し、デュアルチャネルCMOS保護回路で制御を二重化しています。

短絡検知時の瞬時電力遮断、高負荷時の熱管理、過充電防止など多角的な防御機能を備えた設計です。「RIVER 2 Pro」では業界初となるTÜV Rheinland(テュフ・ラインランド)安全認証10も取得しました。

Anker:GaNPrime技術による発熱の根本抑制

モバイルバッテリー分野で世界的に信頼を築いたメーカーです。

ポータブル電源「SOLIX」シリーズでも、長年培った品質管理体制を踏襲しています。FCC・CE認証を取得し、独自の長寿命化技術「InfiniPower」をシステムの中核に据えています。

安全設計上の最大の特徴は、GaNPrime(窒化ガリウム)技術のポータブル電源への本格採用です。

従来のシリコン半導体に代わりGaNを使うことで、AC/DC変換時の電力損失が低下。充放電時の内部発熱を大幅に削減しています。

「熱」はバッテリーの最大の劣化要因であり、熱暴走のトリガーでもあるため、発熱そのものを抑える設計は安全性向上に寄与しています。

BLUETTI:ナトリウムイオン電池で極寒環境の安全課題を解決

リン酸鉄電池を早期に標準採用し、現在のLFPトレンドの先駆けとなったメーカーです。

UL・CE・FCC認証を取得。JPPSAの設立メンバーでもあります。電池技術の革新に極めて積極的で、「安全性の高い電池化学」を重視する姿勢が鮮明です。

世界初のナトリウムイオン電池搭載ポータブル電源「Pioneer Na」を製品化しました。

既存のリチウムイオン電池は0℃以下で充電すると、内部短絡や発火の原因となるリチウム電着(デンドライト)が発生するリスクがあります。 ナトリウムイオン電池は氷点下-20℃でも安定した充放電が可能で、この低温リスクを根本から回避しています。

Dabbsson:半固体電池で発火リスクを物理的に排除

半固体リン酸鉄リチウムバッテリーを搭載しています。

可燃性の液体電解液をゲル状の半固体物質に置き換え、揮発・発煙・発火のリスクを劇的に低減した技術です。

「釘刺し試験」(100%充電セルに釘を貫通させる過酷試験)でも、爆発・火災・煙が一切発生しない結果を残しています。

筐体には最高クラスの難燃性プラスチック(UL94 V0規格)を採用。 UN38.3、UL、CE、FCCなど国際認証をほぼ網羅しています。

なお、ここでは各社の「安全上の最大の特徴」をダイジェストで紹介しました。電池タイプ別の安全特性比較表や、DJI・ALLPOWERS・POWERARQを含む8社の詳細な技術分析は「ポータブル電源メーカー8社の安全性を徹底比較|電池技術・BMS・認証から見る各社の実力」で詳しく解説しています。

業界全体の動き:JPPSA設立

2024年、Anker・Jackery・EcoFlow・BLUETTI・JVCケンウッドなど主要メーカーが「一般社団法人日本ポータブル電源協会(JPPSA)」を設立しました。

業界横断で安全基準を策定し、消費者が安心して選べる環境を作る狙いです。

JPPSA加盟メーカーの製品は、一定の安全意識を持って開発されていると判断できます。

安全基準策定の詳しい経緯は「ポータブル電源の安全性に関する技術基準と業界の取り組み」にまとめています。

安全性向上に向けた最新の取り組み

ポータブル電源の安全性向上に向けた最新の取り組み
ポータブル電源の安全性向上に向けた最新の取り組み

国レベルでも、安全基準の整備が進んでいます。

経産省の検討会と中間とりまとめ

事故の増加を受け、経済産業省は2023年にポータブル電源の安全性に関する検討会を設置しました。メーカー、輸入事業者、試験機関、学識経験者が参加し、安全対策を議論しています。

翌2024年2月、「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)」が公表されました11

この報告書は2つの重要な指摘をしています。

1つ目は、ポータブル電源の事故は「ほとんどが火災」であり「周囲の損傷など被害が生じている」という事実。

2つ目は、リチウム電池による火災リスクだけでなく、屋外使用時のAC出力による感電リスクにも言及している点です。

中間とりまとめには、「過充電試験」「温度上昇試験」などの具体的なテスト項目が記されています。難燃材料の使用や、適切な排熱設計の要求事項も盛り込まれました。

参照されている国際規格

今後の日本の安全基準は、以下の国際規格を参考に策定される見通しです。

  • IEC 62368-1(JIS C 62368-1):情報機器の国際安全基準
  • IEC 62040-1:UPS(無停電電源装置)の安全規格
  • UL 2743:米国のポータブル電源安全規格

国際標準をベースにしつつ、日本特有の要件を組み込んだ規格が望ましいでしょう。

結論:技術と規制の調和が必要な時代に

ポータブル電源にPSEマークがない理由は、法律の分類上の問題です。「PSEマークなし=危険」ではありません。

安全性を見極めるポイントは5つ。

  1. 電池の種類
  2. 国際認証
  3. メーカーの信頼性
  4. 第三者認証
  5. ACアダプター内蔵型の注意点

この5つをチェックすれば、根拠のある判断ができます。

経産省の新安全基準策定やJPPSAの設立など、業界全体で安全性の底上げが進んでいます。

災害大国・日本では非常用電源としての需要が高く、それが技術革新を後押ししている状況です。

安全で信頼できるポータブル電源を選びたい方は、次の記事もぜひご覧ください。

ポータブル電源どれがいい?80台検証して選んだベストバイ7選

6年間で80台以上を実機検証した結果から、安全性と性能を兼ね備えた製品を厳選しています。

ポータブル電源で後悔した人には、理由があった。6年・80台の実測から見えた7つのパターン

「買ってから失敗した」と感じる典型的なパターンを分析。安全性以外の選定ミスも事前に防げます。

ポータブル電源 FAQ:安全性・選び方・使い方

Q
ポータブル電源の本体にはなぜPSEマークがないの?ACアダプターにはあるのに…

A

AC100V出力を持つポータブル電源本体は、電気用品安全法で「蓄電池」に分類されません。

直流出力のモバイルバッテリーとは異なり、PSEマーク表示義務の対象外です。付属のACアダプターにはPSEマーク(菱形)が必要ですが、本体には不要。

この法的な空白は、業界でも課題として認識されています。

Q
ポータブル電源の火災事故は、どんな状況で起きている?

A

充電中の発火が最も多く報告されています。BMSの不具合、内部ショート、過度な負荷、高温環境などが主な要因です。安価な製品や誤った使用方法ではリスクが高まる傾向があります。事故の詳細と対策は「ポータブル電源の火災事故一覧」を参照してください。

Q
ポータブル電源の「熱暴走」って何?どうして危険なの?

A

リチウムイオン電池内部で異常な発熱が連鎖的に発生する現象です。急激な温度上昇と内圧上昇が起き、最悪の場合は発煙・発火・破裂に至ります。BMSがこの熱暴走を防ぐ役割を担っています。

Q
PSEマーク以外で、ポータブル電源の安全性を判断する指標はある?

A

国際認証(UL・CE・FCC等)と、日本の任意認証(S-JET認証・Sマーク認証等)が参考になります。本記事の「5つのチェックリスト」を活用してください。

Q
ポータブル電源の安全基準って、これからどう変わっていくの?

A

経済産業省がIEC 62368-1等の国際規格を参考に新基準を策定中です。業界団体JPPSAも自主基準を整備しています。進捗は「ポータブル電源の安全性に関する技術基準と業界の取り組み」で確認できます。

Q
S-JET認証とPSEマークは何が違う?

A

S-JET認証は、JET(日本電気安全環境研究所)による任意の第三者認証制度です。PSE法よりも厳格な安全基準で審査され、工場の品質管理体制も評価対象。PSEマークが法的最低基準に対し、S-JET認証はより高い安全性を証明するものです。

Q
S-JET認証マーク付きのポータブル電源なら、絶対に安全?

A

S-JET認証は第三者機関による客観的な安全性の証であり、信頼性は高いと言えます。しかし、認証はあくまで設計・製造段階の安全性を評価するものです。誤った使い方や経年劣化によるリスクが皆無になるわけではありません。取扱説明書の遵守が前提です。

Q
ナトリウムイオン電池搭載のポータブル電源って、もう買えるの?

A

BLUETTIから世界初の製品が発売されています(2026年2月現在)。ナトリウムイオン電池は安全性と資源調達面で期待される次世代技術。モバイルバッテリーでは一部メーカーが採用を開始しており12、今後の技術革新と市場拡大が注目されます。

Q
古いポータブル電源を処分したいけど、普通ゴミで捨てていい?

A

絶対にダメです。内蔵リチウムイオン電池は発火リスクがあるため、自治体の指示(危険ゴミ・有害ゴミ等)に従うか、メーカーや専門の回収業者に依頼してください。JBRC13の回収対象外となる場合が多いので注意が必要です。

脚注

  1. モバイルバッテリーに関するFAQ(経済産業省) ↩︎
  2. 電気用品安全法(PSEマーク) ↩︎
  3. 電気用品安全法 ↩︎
  4. ポータブル電源の異常発熱に注意、横浜市では火事3件 注意点は? ↩︎
  5. リチウムイオン電池搭載製品の出火危険(東京消防庁) ↩︎
  6. 令和5年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業,p7 ↩︎
  7. S-JET認証について ↩︎
  8. Sマーク認証について ↩︎
  9. 防災製品等推奨品認証について ↩︎
  10. TÜV Rheinland ↩︎
  11. ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)について ↩︎
  12. エレコム ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー DE-C55L-9000 ↩︎
  13. 小型充電式電池のリサイクル | 一般社団法人JBRC ↩︎