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「ポータブル電源を買ってから後悔した」という声は、思いのほか多くあります。

数万円から十数万円の買い物だからこそ、失敗は避けたいところです。

ただ、楽天・Amazonのレビューを読んでも、「なぜそうなったのか」まで書かれていることは少ないのが実情。

6年間で80台以上を実機検証してきた経験と、ユーザーの声を照らし合わせていくと、あることが見えてきました。

後悔のほとんどは、知っていれば防げたケースだったのです。

京寺美里(Kyodera miri)
京寺美里(Kyodera Miri)
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ポータブル電源で後悔する7パターン

ポータブル電源で後悔する7パターン

後悔には「気づくタイミング」があります。

購入前の調査で見落としたもの、使い始めてから判明したもの、処分しようとして初めて気づくもの。

3つのフェーズに整理すると、こうなります。

  1. 〈フェーズ1|買う前に気づけた〉
    • パターン① :電力・容量の読み違い
    • パターン② :ソーラー発電量への過大な期待
    • パターン③ :ファン音の過小評価
  2. 〈フェーズ2|使い始めてから気づいた〉
    • パターン④ :初期不良・早期故障
    • パターン⑤ :低温環境での動作不可
    • パターン⑥ :サポートへの期待が大きすぎた
    • パターン⑦ :付属品不足・使いにくさ
  3. 〈フェーズ3|捨てようとして気づいた〉

    このフェーズの問題は、購入前には想像しにくい部分です。

    SNSで特に多く見られた声が、ポータブル電源処分方法の問題でした。後ほど詳しく触れます。

フェーズ1|買う前には気づけなかった誤算

購入前の調査で避けることができた後悔のパターンを3つ解説します。

  1. 電力・容量の読み違い
  2. ソーラー発電量への過大な期待
  3. ファン音が想定外に大きかった

パターン① :電力・容量の読み違い

後悔の声として、最も多く見られるパターンです。

「思ったより使えなかった」の正体は、ふたつあります。

容量の誤算と、AC変換効率の見落とし

どちらも、カタログを読む知識がなければ気づきにくい部分といえます。

公称値と実測値のギャップ

BLUETTI Apex 300の実効バッテリー容量
BLUETTI Apex 300の実効バッテリー容量計測中

カタログに書かれているWh(ワットアワー)は、バッテリーの総容量です。

実際にACコンセントから取り出せる電力は、直流から交流への変換時にエネルギーが失われる分だけ少なくなります。

5機種でワットチェッカーを使い、AC出力を実測した結果がこちら。

機種公称容量実測容量AC変換効率
Dabbsson 2000L2,048Wh1,890Wh92%
BLUETTI AORA 2002,073Wh1,870Wh90%
BLUETTI Apex 3002,765Wh2,300Wh83%
EcoFlow RIVER 3230Wh181Wh79%
Jackery 1000 New1,070Wh952Wh89%
→ スマホの方はスクロールできます

上記の例ですと、効率のレンジは79〜92%で13%の差があります。

1,000Whの機種なら取り出せる電力が130Whも変わる計算。電気毛布2〜3時間分の差と考えると、無視しにくい数字ではないでしょうか。

「買ったのに思ったより使えない」という声の多くは、ここに原因があるといえます。

残量表示のズレ

液晶に表示される残量と、実際のエネルギーがずれる問題も頻繁に報告されています。

残量20%と表示されているのに突然停止した、という経験をした方は少なくありません。

精度の低い機種では、表示に数十%の誤差が生じることも。

残量表示の精度は、カタログには載りません。実機を長期間使って、初めて見えてくる部分です。

パターン② :ソーラー発電量への過大な期待

BLUETTI 350Wソーラーパネル

「晴れた日に外に置いておけば充電できる」というイメージで購入した方に、こういった後悔が見られます。

公称値として記載されている出力(例:200W)は、最適条件下でのピーク値です。実際の屋外環境とは、かなり異なります。

複数のソーラーパネルを実測した結果がこちら。

ソーラーパネル公称値実測最大値公称比
ALLPOWERS SE200200W186W93%
BougeRV Yuma CIGS 200W200W185W93%
Jackery SolarSaga 100 Prime100W92W92%
Jackery SolarSaga 100W(JS-100F)100W91W91%
EcoFlow 45Wソーラーパネル45W40W89%
Jackery SolarSaga 40 Mini40W31W78%
EcoFlow 100W据置型(柔性)100W71W71%

パネル単体の効率に加えて、接続するポータブル電源側の受け入れ効率も発電量に影響します。

同じBougeRV Yuma CIGS 200Wを使っても、接続した機種によって差が出ました(EcoFlow DELTA 2では175W、ALLPOWERS R600では185W)。

電圧・電流の整合性は、パネル単体のスペックだけでは判断しきれない部分といえます。

影の影響、気温上昇による効率低下、接続損失も加わり、快晴でも公称値の60〜70%程度が現実的です。

「快晴なのにほとんど充電が進まない」という声は、この実態のギャップから生まれているのでしょう。

設計面の問題

発電効率とは別に、スタンドの強度・端子の位置・ケーブルの取り回しなど、設計面への不満も多く見られました。

  • スタンドが不安定で設置に毎回苦労する
  • 想像以上に重い
  • 端子にケーブルのテンションがかかって折れそうになる
  • パネルが重く、折りたたみ部分の強度が足りない

使ってみないと気づきにくい部分です。

スペックだけでなく、設計の完成度も選定の基準に加えてみると安心かもしれません。

パターン③ :ファン音が想定外に大きかった

Dabbsson 2000Lのファンの騒音度
Dabbsson 2000Lのファン音を計測

「充電中・使用中の音がうるさい」という後悔は、一定数見られます。

インバーターを搭載するポータブル電源は、発熱を抑えるためにファンが回ります。

機種によって、その音量は大きく異なります。

Mcbazel デジタル騒音計(gf-020616)で実測した結果がこちら。すべて最速充電時、計測器の下限は30dB。

機種騒音(最速充電時)
BLUETTI AORA 20030dB以下
Jackery 1000 New30dB以下
EcoFlow RIVER 333dB
Dabbsson 2000L34dB
BLUETTI Apex 30035dB
EcoFlow DELTA 246dB
BougeRV Fort 100054dB

54dBはエアコンの室外機程度の音量です。就寝中や集合住宅での使用には、気になる方も多いのではないでしょうか。

「掃除機のようにうるさい」「家族に不評だった」という表現が、レビューに繰り返し出てきます。

寝室・車中泊・静かな環境での使用を想定しているなら、想定以上に深刻な問題になることも。

カタログへの記載が少ない項目なので、実測値やレビューで事前に確認しておくと安心です。

フェーズ2|使い始めてから気づいた問題

購入してから「買って失敗だったなぁ」と後悔するパターンを4つ紹介します。

  1. 初期不良・早期故障
  2. 冬場・低温環境で動かない
  3. サポートが機能しなかった
  4. 付属品の不足・使いにくさ

パターン④ :初期不良・早期故障

「届いた時点で動かなかった」「半年で壊れた」という声は、ポータブル電源のレビューに一定数あります。

バッテリー製品の特性上、こうしたケースをゼロにするのは難しいところです。

購入後すぐに動作確認をしておくことが、トラブルを防ぐ第一歩といえます。

保証期間内であれば対応を受けやすく、時間が経つほど状況が複雑になりやすいため、早めの行動が大切です。

購入後に焦げ臭いにおいや異音があった場合は、使用を停止して早めにメーカーへ問い合わせてください。

パターン⑤ :冬場・低温環境で動かない

ポータブル電源には「動作保証温度」という仕様があります。

低温側の下限がマイナス20℃の機種もあれば、0℃以上でないと正常動作しない機種も。

購入前にこの数値を確認していた方は、非常に少ないのが実情です。

日本の冬、特に東北・北陸・山間部では屋内でも0℃を下回ることがあります。

停電や車中泊を想定しているなら、動作保証温度の確認は欠かせないポイントといえます。

いざ停電になったら起動しなかった

防災用として購入した方から、こういった声が複数届いています。

パターン⑥ :サポートが機能しなかった

ポータブル電源メーカーのサポートが機能しなかった

「壊れたら交換・修理してもらえる」という前提で購入した方が、サポートの実態に失望するケースがあります。

よく見られるパターンは3つあります。

1.修理期間の長さ

4〜6週間というケースも報告されており、その間手元にない状態が続きます。

防災用として購入した方にとって、これは本末転倒になりうるでしょう。

2.「異常なし」での返却

使用中に明らかな不具合があるのに、「再現しなかった」「仕様の範囲内」として返却される事例があります。

異常を動画で撮影して、それを送っても取り扱ってもらえない方もいました。

3.問い合わせへの無反応・解決しない対応

返答がない、同じ説明を繰り返されるだけで解決しない——そういった声も一定数見られます。

カスタマーサービスと修理部門は別組織のことが多く、CSが外注されているケースもあります。

日本語での応答が丁寧であることと、技術的な問題が解決されることは、別の話です。

購入前に「サポートへ問い合わせた経験者の声」を調べておくと、選ぶ際の安心材料になるのではないでしょうか。

パワーバンクスの体験談

私自身、同じ製品を2回サポートへ送ったことがあります。症状を収めた動画も添付しましたが、返ってきたのは「異常は再現できませんでした」という言葉でした。

使えなくなるほどの故障ではなかったものの、その後どこか安心して使えなくなったのが正直なところです。

パターン⑦ :付属品の不足・使いにくさ

「使ってみたら、必要なものが付いていなかった」という後悔も存在します。

ソーラーパネルとのセット購入にもかかわらず、接続ケーブルが別売りだったケースが報告されています。

また、

  • 日本語非対応のアプリ
  • 設定に数週間かかるほど難解なインターフェース
  • ボタンが誤作動しやすい設計

これらは実際に使うまで気づきにくいところです。

「使う気がなくなった」と書かれたレビューも複数見られました。

購入前のレビューで、使い勝手に関する問題を事前に把握しておくと安心できます。

  • アプリの作りが優れているメーカー:EcoFlow
  • Dabbsson
  • Jackery

フェーズ3|捨てようとして気づいた盲点

ポータブル電源は「燃えないゴミ」では出せない

ポータブル電源は「燃えないゴミ」では出せない

「燃えないゴミ」「粗大ゴミ」として出せない自治体がほとんどです。

誤って出した場合、収集されないか、収集車両の火災事故につながる危険もあります。

SNSでは「捨てにくい」という声が、購入をためらう理由として繰り返し登場していました。

買ってから気づくより、購入前に廃棄方法を把握しておくと安心です。

メーカー回収プログラムがないと、廃棄の手段を失うことがあります

廃棄には、メーカーの回収プログラムを利用するのが基本です。どのメーカーが対応しているかは、別途まとめています。

▶︎ ポータブル電源メーカー別 回収プログラム一覧(作成予定)

回収プログラムがあっても、そのメーカーが数年後も存続しているかは別の問題です。

新規参入が多いこの市場では、品質管理が伴わないまま撤退するブランドも見られます。

そうした製品が手元に残ると、正規の廃棄ルートを失うことになりかねません。

日本市場に長く根ざしたメーカーを選ぶことが、廃棄リスクを減らすひとつの基準になるでしょう。

パワーバンクスの体験談

数年前に2万円ほどで購入したsuaoki社のポータブル電源。1年ほど使って壊れてしまったので、メーカーに回収してもらおうと思ったら……なんと、連絡先が消滅し、会社自体がなくなっていたのです。

色々調べ回って、最終的に近場の家電回収業者に持ち込みましたが、処分費用として約5,000円かかりました。

2万円の製品を1年で使い潰し、捨てるのに5,000円のマイナス。「厄介なものを買ってしまったなぁ」という気分になりました。

長寿命の製品を選ぶことが、廃棄問題も解決する

廃棄の頻度を減らすためにも、長寿命の製品を選ぶことは有効な考え方です。

LiFePO4(リン酸鉄リチウムイオン)電池を採用した機種は、一般的なリチウムイオン電池と比べてサイクル寿命が長くなっています。

充電回数3,000回以上を保証するものも多く、10年以上の使用を想定できる製品もあります。

後悔しないポータブル電源の選び方:実測から導いた3つの基準

7つのパターンを見てきました。では、どう選べばよいのでしょうか。

共通していえるのは、カタログだけでは判断しきれない数値が3つあるということです。

① 実容量とAC変換効率は、実測レビューで確認する

ポータブル電源の実容量とAC変換効率は、実測レビューで確認する

カタログのWh数値はあくまで参考値。

重要なのは「実際に取り出せる電力量」と「AC変換効率」です。

変換効率の目安は85%以上。同じ価格帯でも機種によって差があり、この数値がパターン①で触れた「思ったより使えなかった」に直結します。

カタログには載らない数値なので、実測レビューを参照するのが確実です。

② 騒音は、動画で耳から確認する

dBの数値だけでは、実際の音の印象はつかみにくいところです。

寝室・車中泊・集合住宅での使用を想定しているなら、レビュー動画で実際の音を聞いてから判断することをおすすめします。

静音性を重視するなら35dB以下が目安です。

③ サポートと廃棄は、ユーザーの声で確認する

確認しておきたいのは3点です。

  • 日本語での問い合わせができるか
  • 修理・交換の対応実績がユーザーに語られているか
  • 廃棄・回収プログラムが整備されているか

Amazon・楽天の低評価レビューには、サポート体験が集まりやすい傾向があります。価格だけで選ぶと、サポートと廃棄の両面で後からコストが上乗せされることも。

▶︎ ユーザーレビュー分析はこちら(近日公開)

よくある質問

Q
ポータブル電源は何ゴミになりますか?

A

多くの自治体では、リチウムイオン電池を含む機器を燃えないゴミ・粗大ゴミとして出せません。メーカー回収を依頼することになります。

ポータブル電源はJBRCの対象外となっています1。購入したメーカーの廃棄方法を、あらかじめ確認しておくと安心です。

Q
公称容量と実際の使用時間が違うのはなぜですか?

A

カタログのWh数値はバッテリーの総容量で、ACコンセントから取り出せる電力は変換効率の分だけ少なくなります。変換効率85%の機種であれば、1000Whのバッテリーから取り出せるのは約850Wh。低温環境での効率低下なども影響します。

Q
保証期間内に故障した場合、どう対処すればよいですか?

A

購入後すぐに動作確認を行い、問題があれば早めに問い合わせることが大切です。症状を動画に記録しておくと交渉しやすくなります。「故障が再現できなかった」として返却される事例もあるため、症状を複数回再現できる状況で連絡することをお勧めします。

まとめ——後悔しない買い物のために

ポータブル電源で後悔する理由は、7つのパターンに分類できました。

フェーズ1

『電力・容量の誤算、ソーラーへの過大期待、ファン音』は、事前の情報収集で防げるものです

フェーズ2

『初期不良・低温・サポート・使い勝手』は、メーカー選びの精度で軽減できます

フェーズ3

『ポータブル電源廃棄問題』は、長寿命の製品とサポート体制の整ったブランドを選ぶことで、解決に近づきます

後悔の本質は「情報の非対称性」にあると感じています。

メーカーが開示しない数値、カタログに載らない性能、使ってみないとわからないこと。

ポータブル電源ブログの存在意義は、購入を考えている方が後悔しない選択をするためのオプションを提示することだと思っています。

「ポータブル電源の教科書」(Kindle)

選び方を体系的に理解したい方は、こちらも参考にどうぞ。パワーバンクスが書いた書籍です。

脚注

  1. JBRC:回収対象外製品 ポータブル電源 ↩︎