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「液漏れの心配なし」
「発火リスクも大幅に低減」
半固体リン酸鉄リチウムイオン電池搭載のポータブル電源が、いま注目を集めています。
2022年に普及し始めたリン酸鉄リチウムイオン電池搭載ポータブル電源。そして2024年、さらなる安全性の進化を遂げた半固体型搭載モデルがZendureやDabbsson(ダブソン)1から登場しました。
▶︎ Dabbssonとは?
半固体リン酸鉄リチウムイオン電池についてざっくりまとめ(概要編)
半固体型は「より長く使える」って本当?
リチウム電池の寿命は「何回くり返し使えるか=サイクル寿命」で表されます。
ポータブル電源に搭載されるバッテリーとして、これが長いということは「長く使えて、交換しなくていい」という大きなメリットになります。
従来のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池は、それでも2,500~9,000回とかなり優秀な部類です。これだけでも、1日1回の使用で10年以上持つ計算になります。
一方、半固体型LFP電池は、さらにこの寿命を伸ばす可能性を持っています。
たとえばDabbsson社が発表している製品では、4,500回のサイクル後でも80%の容量を維持できるとされており、これは実用上15年使えるレベル。
この長寿命の秘密は、電解質と電極の界面が安定していること。つまり、内部の化学反応による劣化が少なくて済む構造になっているのです。
ただし、まだ新しい技術のため、実証データは限られているという点も忘れてはいけません。今後、多くのメーカーが製品化していく中で、その耐久性が本当に“長持ちする”のか、ユーザーの体験としても確認されていくでしょう。
| 項目 | 従来型LFP電池 | 半固体LFP電池 |
| 一般的な寿命 | 2,500~9,000回(条件による) | 3,000~4,500回以上(開発途上) |
| 使用後容量維持 | 80%を保つサイクル:3,000回〜 | Dabbsson例:4,500回で80%維持を主張 |
| 推定使用年数 | 10〜15年(使用頻度と温度に依存) | 最大15年とするメーカーも存在 |
| メカニズム面の利点 | 安定だが、液体劣化が要因となる | 電解質と電極界面の安定性が高く劣化が緩やか |
| 注意点 | 実績豊富で信頼性高い | データは一部製品に限定、さらなる実証が必要 |
半固体型リン酸鉄リチウムイオン電池と従来型の最も重要な違いを簡潔にまとめると
三元系や従来型リン酸鉄は液体の電解質をたくさん使うため液漏れや発火のリスクがありました。
半固体型リン酸鉄リチウムイオン電池は、液体をわずか5〜10%に減らして固めることで、より安全になっています。

現在、半固体型リン酸鉄リチウムイオン電池搭載ポータブル電源を販売しているのは「Dabbsson」です。Dabbssonの実機レビューが複数ありますので、ご覧になってください。
バッテリータイプ別の比較表
ポータブル電源の心臓部となるバッテリー。現在主流の3つのタイプには、それぞれ特徴があります。
- 半固体リン酸鉄リチウムイオン電池
- 従来のリン酸鉄リチウムイオン電池
- 三元系リチウムイオン電池
最新技術の半固体電池は安全性と寿命で優れ、従来のリン酸鉄リチウム電池は信頼性の高さが魅力。
三元系リチウムイオン電池は軽量かつ高性能ですが、安全面では他の2つに劣ります。用途に応じて、以下の特徴を参考に選んでみましょう。
【表:各タイプのバッテリー特性比較】
| バッテリータイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 半固体リン酸鉄リチウム電池 | ・優れた耐久性 ・急速充電対応 ・高出力 ・液漏れ/発火リスク低減 ・長寿命設計 | ・比較的新しい技術 ・実績が少ない ・他のバッテリーと比べ高価格 |
| リン酸鉄リチウム電池 (LiFePO4) | ・発火/爆発リスクが低い ・2,000-4,000回の充放電サイクル ・自己放電が少ない | ・容量あたりのコストが高い ・電圧とエネルギー密度が 三元系より低い |
| 三元系リチウムイオン電池 | ・高エネルギー密度 ・安定した性能 ・軽量で持ち運びやすい ・低温でも安定動作 | ・充放電サイクル約800回と少ない ・熱暴走と発火リスクが高い |
半固体型と従来型の詳細比較
ここからは簡単にですが、技術的な解説になります。
半固体型と従来型の違いは、[電解質の構造]から始まります。この構造的な革新が、[エネルギー密度]や[安全性]に大きな進化をもたらしました。
では、具体的に[半固体リン酸鉄リチウムイオン電池のメリット]とは何でしょうか?
[寿命と性能]、[充電速度]、[コストと製造]、そして[低温性能の向上]まで、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。実際の使用シーンに即して、新旧の違いを比較していきます。
電解質の構造
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーは液体電解質を使用しています。この液体電解質はリチウムイオンの移動を可能にしますが、漏れや発火のリスクがあります2。
半固体LFPバッテリー
半固体LFPバッテリーは、液体と固体の電解質を組み合わせた半固体電解質を使用しています。このことで、液体電解質の量が減少し、安全性が向上します3。
エネルギー密度
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーは、すでに高いエネルギー密度を持っていますが、液体電解質の使用により制限があります。
半固体LFPバッテリー
半固体LFPバッテリーは、より高いエネルギー密度を実現できる可能性があります。半固体電解質により、より多くの活性材料を電極に組み込むことができるためです4。
- 電極設計の改善:半固体バッテリーでは、多孔質のスポンジ状の材料を電極に使用することで、より多くの活性材料を吸収できます。これにより、同じ体積でより多くのエネルギーを蓄えることができます。
- 電解質の最適化:半固体電解質は、液体電解質と固体電解質の利点を組み合わせています。イオン伝導性を維持しながら、より安定した構造を実現し、エネルギー密度の向上に寄与します。
- 安全性の向上:半固体電解質の使用により、漏れのリスクが低減され、より高いエネルギー密度を安全に実現できます。
- 電極と電解質の界面の改善:半固体電解質は、電極と電解質の界面の安定性を向上させ、イオン輸送の効率を高めることができます。エネルギー密度の向上につながります。
具体的な数値
具体的なエネルギー密度の数値は、個々の製品や技術によって異なりますが、一般的に半固体LFPバッテリーは従来型のLFPバッテリーよりも高いエネルギー密度を示す傾向があります。例えば、一部の半固体バッテリー技術では、従来型のリチウムイオンバッテリーと比較して20-30%以上のエネルギー密度の向上が報告されています5。
安全性
従来型LFPバッテリー
LFPバッテリーは他のリチウムイオンバッテリーと比較して安全性が高いですが、液体電解質を使用しているため、漏れや熱暴走のリスクが完全になくなるわけではありません。
半固体LFPバッテリー
半固体電解質の使用により、漏れのリスクが大幅に低減され、熱安定性が向上します。このことで、全体的な安全性が向上します6。
半固体リン酸鉄リチウムイオン電池のメリット
半固体リン酸鉄リチウムイオン電池は、従来型のLFPバッテリーと比較して、いくつかの重要な安全性の利点を提供します。
- 漏れのリスク低減
半固体LFPバッテリーは、液体電解質の量が大幅に減少しているため、漏れのリスクが大きく低減されています7。これは、従来型のLFPバッテリーで懸念される主要な安全上の問題の一つを解決しています。 - 熱安定性の向上
半固体電解質の使用により、バッテリーの熱安定性が向上します。これは、熱暴走のリスクを大幅に低減させる重要な要因です。 - 発火リスクの低減
液体電解質の量が少ないため、発火のリスクが大幅に低下します。これは、特に高温環境や物理的な損傷を受けた場合に重要な利点となります。 - 過熱リスクの最小化
半固体技術により、過熱のリスクが最小限に抑えられます。これは、様々な用途において安全な運用を確保するのに役立ちます。
具体的な安全性データ
Eco-ESSが実施した300°Cアーク試験では、半固体バッテリーと従来の液体リチウムイオンバッテリーの熱性能に顕著な差が示されました。
- 半固体バッテリーの最大温度上昇率:0.235 °C/秒
- 従来の液体リチウムイオンバッテリーの最大温度上昇率:2.129 °C/秒
この結果は、半固体バッテリーが熱の蓄積をより遅くし、従来型バッテリーで危険な471.4°Cに達する可能性のある熱暴走の条件を効果的に防ぐことを示しています。
安全性向上のメカニズム
半固体LFPバッテリーの安全性向上は、以下のメカニズムによって実現されています。
- 電解質の構造:半固体電解質は、無機セラミックと有機ポリマー材料を組み合わせており、これにより電解質と電極の間に強力な界面が形成されます。この構造は、イオン伝導効率を向上させながら、構造的完全性と熱安定性を維持します。
- 液体成分の削減:バッテリーセル内の液体電解質の割合が5-10wt%に抑えられており、これにより液体に関連するリスクが大幅に低減されています。
- 電極設計の改善:半固体バッテリーの電極は、液体成分を含まない設計になっており、これも安全性の向上に寄与しています。
これらの安全性の向上により、半固体LFPバッテリーは、電気自動車、ポータブル電子機器、エネルギー貯蔵システムなど、高い安全性が求められる用途に特に適しています8。
寿命と性能
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーはすでに長寿命と優れたサイクル性能を持っています。
半固体LFPバッテリー
半固体電解質の使用により、電極と電解質の界面の安定性が向上し、さらに長い寿命とより良いサイクル性能を実現できる可能性があります。
半固体リチウム鉄リン酸(LFP)バッテリーは、従来型のLFPバッテリーと比較して、より長い寿命を実現できる可能性があります。以下に、両者の寿命の違いについて詳しく説明します。
寿命の比較
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーは、すでに他のリチウムイオンバッテリー技術と比較して長寿命であることで知られています。一般的に2,000〜4,000回の充放電サイクルに耐えることができます。
半固体LFPバッテリー
半固体LFPバッテリーは、さらに長い寿命を提供する可能性があります。具体的には以下の点で優れています。
- サイクル寿命の向上:半固体技術を採用したLFPバッテリーは、4,500回以上の充放電サイクル後も80%の容量を維持できるものがあります。これは従来型のLFPバッテリーよりも優れた性能です。
- 長期使用可能年数:一部の半固体LFPバッテリーは、推定使用可能年数が15年に達すると報告されています。これは多くの従来型バッテリーよりも長い期間です。
- 容量保持率の改善:利用可能なデータによると、室温環境下で2,000サイクル後も85%以上の容量保持率を示す半固体バッテリーがあります。同条件下で従来型の液体バッテリーは1,200サイクル後に約80%の容量保持率となります。
寿命延長のメカニズム
半固体LFPバッテリーの寿命が延長される主な理由は以下の通りです。
- 電解質の安定性向上:半固体電解質は液体電解質よりも安定しており、電極との反応が少ないため、長期的な劣化が抑制されます。
- 熱安定性の改善:半固体技術により、バッテリーの熱安定性が向上し、高温環境下での劣化が抑えられます。
- 電極界面の保護:半固体電解質は電極界面をより効果的に保護し、サイクル中の劣化を最小限に抑えます。
- 副反応の抑制:液体電解質の量が少ないため、電極と電解質間の望ましくない副反応が減少し、長期的な性能低下が抑えられます。
実用的な意味
半固体LFPバッテリーの長寿命化は、以下のような実用的な利点をもたらします。
- 交換頻度の低減:バッテリーの交換頻度が減少し、長期的なコスト削減につながります。
- 持続可能性の向上:バッテリーの寿命が延びることで、資源の効率的な利用と廃棄物の削減に貢献します。
- 信頼性の向上:長期間安定した性能を維持できるため、電気自動車やエネルギー貯蔵システムなどの重要な用途での信頼性が向上します。
充電速度
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーは比較的高速な充電が可能です。
半固体LFPバッテリー
半固体電解質の使用により、イオン伝導度が向上し、さらに高速な充電が可能になる可能性があります。
コストと製造
従来型LFPバッテリー
従来型のLFPバッテリーは確立された製造プロセスを持ち、比較的低コストで生産できます。
半固体LFPバッテリー
半固体LFPバッテリーは新しい技術であり、現時点では製造コストが高くなる傾向があります。しかし、技術の進歩とスケールアップにより、将来的にはコストが低下する可能性があります。
低温性能の向上
- 容量保持
半固体LFPバッテリーは、極低温下でも高い容量保持率を示します。-20°C以下の環境でも80%以上の容量を維持できるものがあります。これは従来型の液体電解質バッテリーよりも優れた性能です。 - イオン伝導性の維持
半固体電解質は、低温下でもイオンの移動を効果的に促進します。従来の液体電解質が低温で粘度が上がり、イオンの移動が制限されるのに対し、半固体電解質ではこの問題が大幅に軽減されます9。 - 内部抵抗の抑制
極低温環境下でも、半固体LFPバッテリーは内部抵抗の増加を抑制します。低温時のエネルギー損失が軽減され、より効率的な電力供給が可能になります10。
低温性能向上のメカニズム
- 電解質の構造
半固体電解質は、無機セラミックと有機ポリマー材料を組み合わせた構造を持っています。この構造により、極低温下でもイオン伝導性を維持しつつ、構造的完全性を保つことができます。 - 液体成分の削減
バッテリーセル内の液体電解質の割合が5-10wt%に抑えられていることで、極低温による液体の凍結や粘度上昇の影響が最小限に抑えられます。 - 電極設計の最適化
半固体バッテリーの電極は、低温環境を考慮して設計されており、極低温下でも効率的にリチウムイオンの挿入・脱離が行えるようになっています。
具体的な性能データ
- -40°C環境下での性能: 一部の半固体LFPバッテリーは、-40°Cの極低温環境下でも70%以上の容量を維持できることが報告されています。これは従来型のLFPバッテリーの性能を大きく上回ります。
- サイクル寿命: -20°Cから60°Cの温度サイクルを繰り返した後でも、半固体LFPバッテリーは高い容量保持率を示します。例えば、2,000サイクル後も85%以上の容量を維持できるものがあります。
- 充電性能: 極低温下での充電効率も向上しており、-20°C以下でも安全に充電が可能です。これは、リチウムプレーティングのリスクが低減されているためです。
応用分野
この優れた低温性能により、半固体LFPバッテリーは以下のような極低温環境での応用に適しています。
- 極地や高山地帯での電気自動車の使用
- 寒冷地での屋外設置型エネルギー貯蔵システム
- 宇宙探査機器や極地研究設備の電源
脚注
- Dabbsson(ダブソン)公式サイト ↩︎
- Contrasting Semi-Solid Lithium Ion and Lithium Polymer Batteries ↩︎
- What is the difference between a semi solid state battery and a solid-state battery? ↩︎
- What Is a Semi-Solid State Battery? ↩︎
- LiFePO4 Batteries vs Lithium-Ion Batteries: Which One Is Better for Solar Generators and Why ↩︎
- Contrasting Semi-Solid LithiumIon and Lithium Polymer Batteries ↩︎
- semi Solid state Batteries ↩︎
- What is a semi-solid battery? Also, how does it compare to lithium iron phosphate batteries? ↩︎
- How to Choose Lithium Batteries for Cold Weather? ↩︎
- How Operating Temperature Affects Lithium-Ion Batteries ↩︎
