この記事では、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国といった主要国の「年間の停電時間」を比べてみました。

電気が安定して使えることは、私たちの毎日の生活や経済活動にとってとても大切です。停電が起きると、家庭の電化製品が使えなくなるだけでなく、工場やお店の機能も止まり、暮らし全体に大きな影響を与えてしまいます。

そこで今回は、「各国の電力の安定性」がどれくらい高いのかを、数字と指標(SAIDI・SAIFI)を使って比べてみました。このレポートを通して、どの国の電力インフラがどのくらい信頼できるのか、そしてその理由についてもあわせて見ていきます。

※ データソースに関しては、脚注をつけていますので、そちらも合わせてご確認ください。

京寺美里(Kyodera miri)
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各国の「電気の安定度(信頼性)」を調べて比較しました

今の社会では、電気がないと生活も仕事も成り立ちませんよね。だからこそ、電気を安定して届けるしくみはとても重要です。

たとえば停電があると、工場が止まったり、お店が営業できなかったり、家庭でも冷蔵庫や照明が使えなくなるなど、不便なことがたくさん起こります。ひどいときには社会全体に大きな影響が出ることもあります。

そんな背景から、各国の「電気の安定度(信頼性)」を調べて比較することは、政府の政策づくりや企業の戦略、研究の土台としても、とても価値があるのです。

このレポートでは、エネルギーの生産量や消費量なども参考にしながら、主要7か国(アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国)を選び、停電時間や関連する指標(SAIDI・SAIFI)で比較しています。

  • SAIDI:1年間に1人あたりが経験する平均の停電時間(分)
  • SAIFI:1年間に1人あたりが経験する停電の回数

この2つの数字をもとに、「どの国がどれだけ電気を安定して届けられているか」を見ていきます。

アメリカ合衆国

アメリカでは、年間の停電時間がけっこう長めです。ある情報によると、1年でだいたい6時間くらい停電しています1。これは全体の平均なので、州によってかなり差があるとのこと。

たとえば、ハリケーンや竜巻が多い地域では復旧に時間がかかるため、停電時間も長くなる傾向があります。逆に、自然災害が少なくて設備が整っている州では、停電が短くすみます。

また、2013年から2021年までを対象にした別の調査では、年間の平均停電時間は約5時間だったというデータもあります。年によってもばらつきがあって、2015年は約3時間だったのに対し、2017年には約8時間に増えています2

さらに、ミネソタ大学の研究では、中西部北部だけを見たとき、年間の平均停電時間は92分だったという報告もあります。中でもルイジアナ州は特に長くて、年間なんと約25時間も停電しているというデータも。これは全国平均の約4倍。

アメリカ国内でも地域によって電力の信頼性にかなり差があることが分かります。

日本

日本は、1年間に起こる停電の時間がとても短いことで知られています。

日本の停電時間と停電回数の推移(1966〜2023)
日本の停電時間と停電回数の推移(1966〜2023)

このグラフを見ると、平常時の停電時間は非常に短いことがわかります。(2023年は年間平均わずか36分!)。

これはアメリカの約120分と比べてもかなり短い数字です3

こうした結果から、日本の電力は世界でもトップクラスに信頼できると言えるでしょう。電力会社の設備管理がしっかりしていることや、地震などの災害時にも復旧が早い体制が整っていることが、その理由かもしれません。

ドイツ

ドイツの停電時間は、世界的に見てもとても短めです。最新のデータでは、2023年の年間平均停電時間は13.7分でした4。これは系統運用者(電力会社)からの信頼できるデータに基づいています。

ちなみに、2022年は11.8分、2020年は10.2分と、年によって少しずつ変化があります5。建設ラッシュの影響で、地下の電線が傷ついてしまうケースもあり、それが停電の原因になることもあるそうです。

2023年に1人あたりが経験した平均の停電回数は約0.34回。つまり、3年に1回くらいしか停電に当たらない計算になります。しかも、自然災害(ハリケーンや大雪など)や計画的な工事による停電はこのデータに含まれていません。

再生可能エネルギーの導入も進んでいて、2023年には発電量の約55%が再エネ由来に。それでも電力の安定供給を維持しているのは、電力会社の努力のたまものですね!

イギリス(UK)

イギリスの停電時間については、調査によってちょっとバラつきがあります。

たとえば、2023年のある調査では、停電時間が「最大で2時間半」に及ぶケースもあるとされています。1〜2時間の停電を経験した人が27%、3〜4時間の人が11%という結果でした6

一方で、電力会社(UK Power Networks)の2019年のレポートでは、平均的な停電時間は「30分ちょっと」との報告もあります7。この数字は、3分以上の停電だけをカウントしていて、2010年からは約半分にまで改善されたとのこと。

また、イギリスのエネルギー規制機関(Ofgem)のデータを見ると、実際の停電回数はかなり少なくなってきているようです。ただ、調査によっては「年に1回以上停電を経験している」という回答もあり、体感的には「けっこう停電する」と感じている人もいるようです8

カナダ

カナダの電力供給はわりと信頼できるほうですが、場所によって停電時間にすごく差があります。

たとえば、ニューファンドランド・ラブラドール州では、なんと年間18時間以上も停電しているという報告があります9。これは国内で最も長い数値です。一方で、ノースウェスト準州では年間たった30分(=SAIDI 0.5)というデータも。国内でもかなり電力供給に差がありますね。

SAIDIという指標(年間の平均停電時間)で見ると、ケベック州やサスカチュワン州も比較的長め。オンタリオ州も上位に入っています。

ちなみに、カナダの電力についてのReddit10では、「4〜6時間くらいの停電はよくある」「天候(氷、風、雨)で電気が止まることが多い」といった声もありました。

全体的には信頼できるけれど、場所によってはかなり停電しやすいというギャップがあるのが特徴です。私も学生時代にバンクーバーへ留学しましたが「ちょこちょこ停電があるなぁ」と感じました。

オーストラリア

オーストラリアの停電時間は地域によってバラバラです。平均すると、1年間でおよそ200分(約3時間20分)くらいの停電が起きているとされています11

特に地方では差が大きくて、西オーストラリア州のある地域では年間526分(約9時間)にもなることがあります12。都市部だと215分くらいですが、農村部ではなんと2,656分(約44時間)という極端なケースも。

もちろん、これにはサイクロンや森林火災などの自然災害の影響も含まれています。特にひどいときには、1週間くらい電気が使えなかったという報告もあるんですよ13

オーストラリアでは、「都市 vs. 農村」の違いがとても大きいのが特徴です。

韓国

韓国は、実はとても電力が安定している国のひとつです。ソウルでは、「1年間に1時間も停電がない」というのが当たり前になっているほどです。

さらに、電力会社(KEPCO)は「SAIDIを3.5分から、もっと下げて2.5分にしよう!」という目標を掲げています14。すでにかなり低い値なので、世界的に見てもトップレベルの信頼性だと言えるでしょう。

日本と同じく、短い停電時間と高い安定性を実現している国です。

年間停電時間の比較(ざっくりまとめ)

ここまで紹介してきた各国の「年間平均停電時間」を整理してみましょう。

世界の主要国を見比べてみると、停電時間にはかなりの違いがあることが分かります。

01

日本と韓国はとても優秀!

年間たった数分しか停電がないという、びっくりするくらいの信頼性。まさに世界のお手本です。

02

ドイツもなかなか頑張ってる!

13分台と短め。再エネが多いのに安定していてすごいですね。

02

アメリカ・イギリス・カナダはちょっと長め…?

地域差が大きいこともあって、全体的に停電時間は長め。特にカナダ・オーストラリアは州によって大違い。

また、「同じ国でもデータがまちまち」という点も見逃せません。これは、調査の方法や対象の期間、自然災害を含むかどうかなどによって変わるからなんです。

電力供給の信頼性を測る数字って?(SAIDIとSAIFI)

電力の安定性を数字で表すときに、よく使われるのがこの2つの指標です。

SAIDI(サイディ)
→ 1人あたりが1年間で経験する平均の「停電時間(分)」です。
たとえば、SAIDIが30なら「1年で合計30分停電する」感じです。

SAIFI(サイフィ)
→ 1人あたりが1年間で経験する「停電の回数」です。
SAIFIが1.5なら、「年に1.5回停電する」計算ですね。

これらの数字は、電力会社が自分たちのパフォーマンスを評価したり、目標を立てたり、サービス改善に活かしたりするのに使われています15

ちなみに、大雨やハリケーンなどの「大きな自然災害」による停電を含むパターンと、含まないパターンの2種類が報告されることも多いです。そうすることで、「日常的な信頼性」がより正確に分かるようになるんですね。

各国のSAIDI/SAIFIデータ(まとめて紹介!)

アメリカ

SAIDI:118.4分(大きな災害を除く)16

SAIFI:0.999回/年(同じく除く)
→ 少しずつ悪化しているという見方もあります。

日本

全国平均の最新データは少ないものの、中部電力の情報では

SAIDI:28分(2001~2023年の平均)

SAIFI:0.12回/年17
→ 全国平均はもっと低いかも?高い信頼性がうかがえます。

ドイツ

SAIDI:2023年で13.7分(2022年は11.8分)
→ 計画停電や自然災害は除外されています18

イギリス

SAIDIに近い数字として「CML(停電時間)」が30分ちょっと

「CI(停電回数)」は100人あたり約37回=1人あたり0.37回/年ほど19
→ イギリスも比較的しっかりしています。

カナダ(ニューファンドランド州など)

SAIDI:1,094分(!)
→ めちゃくちゃ長い…地域差が大きすぎる。

オーストラリア

平均的なSAIDI:約200分(2018年)

西オーストラリアでは、農村部が特に長い(最大2,656分!)

韓国

SAIDI:3.5分(2019年)
→ ソウルは「年間1時間も停電なし」レベル

このセクションのポイントまとめ

  • SAIDIとSAIFIを使うと、「どれだけ停電が起きてるか」がより正確にわかる
  • 日本と韓国は文句なしの優等生!
  • ドイツ・イギリスも安定してる
  • アメリカ・カナダ・オーストラリアは、場所によって差が大きい
  • 「回数」も見ると、単なる「時間」だけでは分からない部分も見えてくる

停電の時間って、なにが影響してるの?

「この国は停電が多い/少ない」って言っても、その理由は1つじゃありません。ここでは、停電時間に影響を与える主な「背景要因」をいくつか紹介します。

① インフラの質とメンテナンス

電力を届けるための設備(電線、変電所など)がしっかりしていて、こまめに点検や修理がされている国は、停電しにくいです。

逆に、古くてメンテ不足のところでは、ちょっとしたトラブルで停電しやすくなります。

② 天候や自然災害

これはかなり大きな要因!

  • 日本:地震や台風、大雪
  • アメリカ:ハリケーンや竜巻
  • カナダ:氷雨や吹雪
  • オーストラリア:山火事やサイクロン

こういった「激しい自然現象」が多い地域は、停電のリスクも高めです。

③ 都市部 vs 農村部

大都市は、電力設備がしっかり整っていたり、二重・三重のバックアップがあったりして、停電が少ない傾向にあります。

一方、田舎や山間部では、インフラが手薄だったり、復旧までに時間がかかることが多いです。

④ 国のルールや目標(規制)

その国の政府や電力業界が、「どこまで停電を減らそうとしているか?」という意識や制度も大事です。

たとえば、日本や韓国では電力会社が「SAIDIをもっと減らそう!」という目標をちゃんと持っていて、結果として信頼性も高くなっています。

⑤ スマートグリッドや最新技術の活用

最近では、AIやIoT技術を使って「停電を予測・防止」する取り組みも増えています。

スマートメーター、ドローン点検、自動復旧システムなどを取り入れている地域は、トラブルの早期発見&解決ができます20

⑥ 発電の仕組みやバランス(エネルギーミックス)

再生可能エネルギー(太陽光や風力など)が増えると、天候によって電力の安定性に影響が出ることもあります。

でもドイツのように、バランスを取りながら上手に安定供給している国もあります。

⑦ 地中 vs 架空の電線

電線が地面の下にあると、風や雪で倒れる心配がありません。

ただし、地中配線にはコストがかかるので、なかなか全国一律にはできませんね。

⑧ 工事や人為的なトラブル

実は、道路工事や通信インフラ整備のときに、うっかり電線を切ってしまう…というケースもあります。

ドイツでは、ブロードバンド工事の影響で停電が起きる例も報告されています。

信頼性が高い国

日本と韓国は、圧倒的に停電が少なく、停電してもすぐに復旧できる「超安定型」の国といえます。

ドイツも、短い停電時間と高い再エネ比率を両立させていて、インフラ運用のレベルの高さがうかがえます。

停電時間が長めな国

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアは、地域によって停電が多いところもあり、「国全体で見ると長め」という印象。

特にカナダとオーストラリアでは、地域差が大きく、農村部ではかなり長時間の停電になるケースもあります。

数字だけでは見えない背景も大事

ただし、単純に「○分だから良い・悪い」とは言い切れません。

  • データの取り方(どの停電を含めるか)
  • 年や災害の影響
  • 政策・設備・技術導入の違い

などもあるので、背景まで見て理解することが大切です。

まとめ:日本の電力は優等生。でも油断しない備えが大切!

こうして見てみると、日本と韓国は世界でもトップクラスの電力安定国。でも、だからこそ「停電に弱くなっている」一面もあるかもしれません。

いつもの暮らしが一瞬で変わる停電に、何を準備すべきか?

そんな視点で、ポータブル電源の使い方や備え方も考えてみてくださいね。

脚注

  1. Power Outages by State: Most Frequent and Longest ↩︎
  2. Explained: Reliability of the Current Power Grid ↩︎
  3. U.S. has more power outages than all other developed countries ↩︎
  4. Record high for renewable energy: Germany’s electricity supply will ↩︎
  5. Power supply in Germany in 2022: Supply reliability at a very high ↩︎
  6. UK Power Cut Survey Revealed | UKPower ↩︎
  7. Network reliability | UK Power Networks Annual Review 2019 ↩︎
  8. Ofgem report reveals average power interruptions – UKPower ↩︎
  9. Atlantic Canada fares poorly in grid reliability ↩︎
  10. On a given year how often does your electricity go out in your part of Canada? ↩︎
  11. Behind the news: network reliability | Energy Networks Australia ↩︎
  12. www.erawa.com.au ↩︎
  13. Power Outage Statistics Australia: Blackout Insights ↩︎
  14. KIEE – The Transactions of the Korean Institute of Electrical Engineers ↩︎
  15. Trends in Reliability and Resilience—The Growing Resilience Gap ↩︎
  16. Reliability Metrics of US – SAS Output ↩︎
  17. Chubu Electric Power Co.,Inc. | SAIDI SAIFI – Statistical Data ↩︎
  18. Quality of supply – Bundesnetzagentur ↩︎
  19. Network reliability | UK Power Networks Annual Review 2023 ↩︎
  20. How to Improve SAIDI with Safegrid ↩︎