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車載冷蔵庫をポータブル電源で動かすとき、一番気になるのは「何Whあればいいのか」だと思います。

結論から言うと、日帰りなら150〜300Wh、1泊キャンプなら300〜500Whが目安。ただしこの数字、給電方法で大きく変わります。

同じポータブル電源でも、シガーソケット(DC)で繋ぐかコンセント(AC)で繋ぐかで、実測で4時間もの差が出ました。

この記事では、容量の計算方法、DC給電が有利な理由、安全なバッテリーの選び方を実測データ付きで解説しています。

コメント欄での質問もお気軽にどうぞ!

京寺美里(Kyodera miri)
京寺美里(Kyodera Miri)
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必要な容量を計算する方法

車載冷蔵庫に必要な容量は、この式で見積もれます。

消費電力(W)× 使用時間(h)× 1.2(余裕率)= 必要バッテリー容量(Wh)

たとえばEENOUR D10(MAXモード時36W)をキャンプで10時間使う場合、

36W × 10h × 1.2 ≒ 432Wh。

500Wh前後のモデルがひとつの目安になります。

ただし、実際はもっと少なくて済む

計算上は432Whでも、実運用ではもう少し余裕があるかもしれません。

車載冷蔵庫は設定温度に達するとコンプレッサーが止まり、間欠運転に移行します。

EENOUR D10の公称消費電力は30〜50Wですが、実測の平均は20〜30W程度。冷えている間は電力をほぼ消費しない時間が続くためです。

「カタログ値 × 時間」はあくまで最大値の見積もり。

実運用では、この計算値の6〜7割程度で収まるケースが多いといえます。

使用シーン別の容量目安

縦型ポータブル冷蔵庫:EENOUR D10レビュー
使い方目安バッテリー容量
日帰りドライブ150〜300Wh
1泊ソロキャンプ300〜500Wh
夏の車中泊(2泊)500〜1000Wh
停電対策・医薬品の保冷1000Wh以上

真夏の車内、冷凍設定、頻繁な開閉など負荷が高い状況では、上記の1.5〜2倍を目安に考えておくと安心です。

DC給電とAC給電:同じ電源でも稼働時間が1.5倍違う

車載冷蔵庫をポータブル電源で使うとき、シガーソケット(DC)とコンセント(AC)のどちらから電源を取るかで、バッテリーの持ちが大きく変わります。

DC給電を基本にすることをおすすめします。

なぜDC給電の方が長持ちするのか

理由は、変換ロスの違いにあります。

DC給電の場合、ポータブル電源内部のバッテリー(DC)から車載冷蔵庫(DC)へ直接電力を送れます。

変換が発生しないぶん、エネルギーのロスが少ない。

一方、AC給電ではバッテリー(DC)→ インバーターでAC100Vに変換 → 冷蔵庫内部のACアダプターで再びDCに変換、という二重の変換が入ります。

この過程でバッテリー容量の3割以上が熱として失われてしまいます。

AC給電は、せっかくのバッテリーを「変換のためだけ」に使っている状態ともいえます。

【実測①】EENOUR D10 × EcoFlow RIVER 3

EENOUR D10レビュー

EENOUR D10とEcoFlow RIVER 3(230Wh)の組み合わせで検証した結果がこちらです。

電源の取り方稼働時間
シガーソケット(DC)約11時間
コンセント(AC)約7時間

同じポータブル電源、同じ冷蔵庫で、4時間の差が出ました。

【実測②】BougeRV CRPRO30 × EcoFlow RIVER 2

別の組み合わせでも検証しています。

EcoFlow RIVER 2(256Wh)とBougeRV CRPRO30(カタログ消費電力40W)を使い、室温25℃・庫内温度0℃スタートの条件で比較しました。

結果

  • シガーソケット(DC)給電:12時間20分
  • コンセント(AC)給電:8時間12分

こちらも約1.5倍の差。

バッテリー残量の推移を1時間ごとに記録したデータが以下の表です。

時間シガーソケットコンセント
30分後87%86%
1時間後84%80%
2時間後75%71%
3時間後70%61%
4時間後65%51%
5時間後57%38%
6時間後51%28%
7時間後44%18%
8時間後39%7%
9時間後34%0%(8時間12分後)
10時間後28%
11時間後23%
12時間後17%
13時間後0%(12時間20分後)
使用時間とバッテリー残量

3〜4時間あたりから差が開き始めているのが分かります。

AC給電側は4時間で残量が半分を切っているのに対し、DC給電側はまだ65%残っている。

この開き方が、長時間使用になるほど効いてきます。

実測消費電力の比較

この実験で計測した平均消費電力は以下の通りです。

  • DC給電時:21W
  • AC給電時:32W

理論上は256Whで40Wの冷蔵庫を動かすと約6.4時間の計算。

しかし、間欠運転のおかげで実際はもっと長く使えます。

さらにDC給電であれば変換ロスがないぶん、バッテリーをより効率よく使い切れるということではないでしょうか。

DC給電時の注意点

DC給電が有利とはいえ、ひとつ注意点があります。

すべてのポータブル電源のシガーソケット出力が、車載冷蔵庫に安定した電圧を供給できるとは限りません。

実際にALLPOWERS VOLIX P300のDC出力では、EENOUR D10が電圧不足で正常に動作しなかった経験があります。

DC給電を前提にポータブル電源を選ぶなら、シガーソケット出力の電圧仕様を事前に確認しておくと安心です。

この点はFAQでも詳しく触れています。

※ 実測値はあくまで参考値。バッテリーの変換効率は製品ごとに異なるため、すべての組み合わせに当てはまるわけではありません。

バッテリーは「リン酸鉄(LiFePO4)」一択

車載冷蔵庫とポータブル電源・内蔵バッテリーを車内で使うなら、バッテリーの種類選びは重要です。

車載用途に限っては、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)搭載モデルをおすすめします。

ポータブル冷蔵庫と内蔵バッテリーのセットを購入する際は、内蔵バッテリーの種類も要チェック!

夏の車内は「過酷」どころではない

基本的にポータブル冷蔵庫は暑い季節に使いますよね。

夏場に考えないといけないのは、バッテリーの熱問題

JAFのテストによると、気温35℃の日に駐車した車のダッシュボード付近は70℃超、車内全体でも50℃を超えます。

窓を少し開けていても、車内温度は大きく下がりません。

ポータブル電源の多くは動作温度の上限が40〜45℃。

つまり夏場の車内は、バッテリーにとって常に「許容範囲の外」にある状態。

この環境でどのバッテリーを選ぶかは、快適さではなく安全の問題です。

リン酸鉄 vs 三元系:何が違うのか

ポータブル電源に使われるリチウムイオン電池は、大きく2種類に分かれます。

項目三元系(NMC)リン酸鉄(LiFePO4)
熱安定性約150℃で熱暴走のリスク約270℃まで安定
サイクル寿命500〜800回2,000〜3,500回
重量軽いやや重い(同容量比で1.2〜1.5倍)
コスト安めやや高め
車内放置リスク高温環境での劣化が早く、最悪の場合は発火高温耐性が高く、劣化も緩やか

三元系が劣った電池というわけではありません。

スマートフォンやノートPCなど、温度管理された環境で使う分には優れた選択肢です。

ただし、夏場の車内という「管理できない高温環境」に長時間置く用途では、熱安定性の差がそのままリスクの差につながります。

6年間の検証で確信していること

私はこの6年間で数十台のポータブル電源を実機テストしてきました。

その経験から、車載用途でリン酸鉄を選ぶ理由は2つあります。

① 安全マージンの大きさ

三元系の熱暴走開始温度は約150℃、リン酸鉄は約270℃。

数字だけ見ると「どちらも車内温度よりはるかに高いから大丈夫では?」と感じるかもしれません。

でも実際には、直射日光が当たるバッテリー表面温度、充放電時の発熱、車内の蓄熱が重なります。

マージンは大きいに越したことはありません。

② 寿命とコストの逆転

リン酸鉄は本体価格が三元系より高めですが、サイクル寿命は3〜5倍あります。

たとえば月4〜5回の週末キャンプや車中泊で使うとして、三元系なら2〜3年で性能低下を感じ始めるところ、リン酸鉄なら10年以上使える計算。

長期で見ると、リン酸鉄のコストパフォーマンスが上回ることになります。

リン酸鉄搭載モデルの選び方や詳しい特性は、リン酸鉄リチウムイオン電池の解説記事でまとめています。

また、バッテリーの安全性が気になる方にはポータブル電源の火災・事故情報も参考になるかもしれません。

この記事で使った機材

この記事の実測データは、以下の機材で取得しています。

  • 車載冷蔵庫:EENOUR D10(10L / カタログ消費電力30W)
  • 車載冷蔵庫②:BougeRV CR Pro 29L(CRPRO30 / カタログ消費電力40W)
  • ポータブル電源①:EcoFlow RIVER 3(230Wh / リン酸鉄)
  • ポータブル電源②:EcoFlow RIVER 2(256Wh / リン酸鉄)

EENOUR D10(10L)

縦型ポータブル冷蔵庫:EENOUR D10レビュー
縦型ポータブル冷蔵庫:EENOUR D10

これは私が毎日車で使っているポータブル冷蔵庫です。

縦型なので、後部座席や助手席の足元にもぴったり収まります。

2Lペットボトルは入りませんが、普通のペットボトル・おにぎり・生鮮食品を入れるにはちょうどいいサイズ。

音もほぼ無音で、ポータブル電源との接続でも快適に使えています。

もう少し容量が欲しい方には、18Lタイプも選択肢に入るかもしれません。

冷蔵保管が必要な薬の運搬に使っています

私がこの冷蔵庫を手放せない理由は、薬の運搬にあります。

縦型ポータブル冷蔵庫:EENOUR D10レビュー

喘息の注射を打っていて、病院から帰宅するまでの間も温度を維持しなければなりません。

1本あたり約18万円。暑さで無駄にするわけにはいかないので、この冷蔵庫を車に乗せて冷やしながら持ち帰っています。

停電時にも役立っています。AC駆動の冷蔵庫より長時間保存できるので、停電が長引きそうなときも落ち着いて対応できます。

万が一バッテリーが切れても、車のアクセサリーソケットから給電できるのも心強いところです。

BougeRV CR Pro 29L

BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L 【CRPRO30】はソーラーパネルで電力を供給できるかな?

以前Amazonで購入し、約1年間毎日通電して使っていたモデルです。

静粛性と冷却力が高く、使い勝手のよい1台でした。1年を過ぎてやや不具合が出てしまいましたが、保証期間の終了と重なるタイミング。

水が溜まりやすい設計はやや気になるところです。

バッテリー・AC・DC・ソーラーと給電方法が豊富で、基本的な完成度は高いといえます。

Bonarca FCR-A01BK(15L)

事務所で8年間ずっと使い続けているモデルで、今もなお現役稼働中です。

AC接続のみの運用ですが、冷却効率が高く、パフォーマンスの衰えは感じません。音は現行モデルより少し大きめではあるものの、最新モデルでは静音性も改善されているようです。

長期間使えて価格も手頃。耐久性を重視する方には、一度検討してみる価値があるのではないでしょうか。

▶︎ Bonarca FCR-A01BK」をAmazonでチェックする

まとめ:失敗しない選び方3カ条

EcoFlow RIVER 3と45Wソーラーパネル、EENOUR D10

車載冷蔵庫とポータブル電源の組み合わせで押さえるべきポイントは3つ。

① 必要容量は「実測消費電力 × 時間 × 1.2」で計算する

カタログ値ではなく、間欠運転を考慮した実測値で見積もるのが大切。日帰りなら150〜300Wh、1泊キャンプなら300〜500Whが目安になります。

② 給電方法はDC(シガーソケット)が基本

同じポータブル電源でも、AC給電に比べてDC給電は約1.5倍長く使える。変換ロスがない分、バッテリーを無駄なく使い切れます。

③ バッテリーはリン酸鉄(LiFePO4)を選ぶ

夏場の車内温度を考えると、熱安定性の高いリン酸鉄一択。サイクル寿命も長く、長期的なコストパフォーマンスにも優れています。

この記事の内容で疑問があれば、コメント欄で気軽に聞いてくださいね。

「うちの冷蔵庫は○Wだけど、何Whあればいい?」のような質問にもお答えしています。

FAQ:よくあるご質問にお答えします

Q
DC給電とAC給電、本当にそんなに効率が違う?

A

2つの異なる機材で実験して、どちらもDC給電がAC給電の約1.5倍長持ちする結果でした。

AC給電ではインバーター変換で30〜40%のエネルギーがロスになるため、同じバッテリー残量でもDCの方が数時間長く使えます。シガーソケット出力があるポータブル電源なら、DC接続を基本にするのがよいでしょう。

Q
車載冷蔵庫が冷えない原因は?

A

よくある原因は4つ。外気温が高すぎる、電源の出力不足、庫内に詰めすぎている、冷蔵庫の放熱スペースが足りない、のいずれかです。

特に夏場は、冷蔵庫の周囲に10cm以上の空間を確保し、直射日光を避けるだけで冷却効率がかなり変わります。まずはこの2点を見直してみると改善するケースが多いといえます。

Q
ポータブル電源のDC出力で電圧不足になることはある?

A

あります。 私自身、ALLPOWERS VOLIX P300のシガーソケット出力でEENOUR D10を動かそうとして、電圧不足で起動しなかった経験があります。

すべてのポータブル電源のDC出力が12V安定とは限りません。製品によっては出力電圧が低めだったり、負荷がかかると電圧降下を起こすことがあります。車載冷蔵庫のコンプレッサーは起動時に大きな電流を必要とするため、電圧が不安定だと保護回路が作動して止まってしまいます。

購入前にDC出力の仕様(出力電圧と最大電流)を確認しておくと安心です。

Q
車載冷蔵庫にポータブル電源をつけっぱなしにしても大丈夫?

A

基本的には問題ないものの、いくつか注意点があります。

パススルー充電機能があれば、充電しながら冷蔵庫に給電できるため、長時間の運用にも対応できます。ただし、パススルー充電を常用するとバッテリーの劣化が早まる製品もあります。メーカーの仕様を確認し、可能なら充電と放電を分けて運用する方がバッテリー寿命の面では穏やかです。

Q
炎天下で車載冷蔵庫を使っても大丈夫?

A

真夏の車内は50℃を超えるため、冷蔵庫自体の冷却効率が下がるだけでなく、ポータブル電源のバッテリーにも大きな負荷がかかります。あまりおすすめしにくい状況です。

日中はエアコンを併用するか、冷蔵庫を車外の日陰に移すなどの工夫が効果的です。バッテリーの安全性については、本文の「バッテリーはリン酸鉄一択」セクションも参考になるかもしれません。

Q
ソーラーパネル充電は必要?

A

必須ではありませんが、電源のない場所で連泊する場合は心強い選択肢です。

日中に100W程度のソーラーパネルで充電すれば、夜間の冷蔵庫運用分をある程度まかなえます。ソーラー充電の効率や実測データについては「ソーラーパネル関連記事」も参考にしてください。

Q
停電時に家庭用冷蔵庫をポータブル電源で動かせる?

A

この記事のテーマは車載冷蔵庫ですが、簡潔に触れておくと、家庭用冷蔵庫は起動時に300〜1,000W程度の電力が必要。車載冷蔵庫とはまったく別の計算になります。詳しくは「停電時のポータブル電源活用ガイド」で解説しています。