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ポータブル電源をパススルー充電でコンセントに繋ぎっぱなし。この使い方をしている人は多いと思う。
でも梅雨から秋にかけて雷が増える時期、こんな不安がよぎらないだろうか。
「コンセントに繋いだまま雷が来たら、ポータブル電源は壊れるのか?」
雷サージの種類と製品の保護機能によって、壊れる場合と壊れない場合がある。
この記事では、ポータブル電源が雷で壊れる条件を整理していく。
雷サージ保護搭載モデルの紹介、非搭載モデルの守り方、そして私自身の運用方法もまとめている。
コンセントに繋いだポータブル電源、雷で壊れるのか?
答えは「条件による」。ポイントは2つある。
1つ目は、雷サージの種類。
雷サージには直撃雷・誘導雷・逆流雷の3種類がある。
直撃雷(100万V超)はどんな機器でも防ぎようがない。ただし発生確率は低い。
問題は誘導雷で、PC・家電の雷被害の大半はこれが原因になっている。
100m先の落雷でも約10万Vの異常電圧が配電線に発生する。その電圧がコンセントから機器に侵入する仕組みだ。
2つ目は、ポータブル電源側の保護機能。
雷サージ保護を搭載したポータブル電源なら、誘導雷レベルのサージを吸収できる。
本体と接続機器の両方を守れる設計になっている。搭載していない製品では、コンセントからのサージがそのまま本体に到達する可能性がある。
つまり、雷サージ保護なしのポータブル電源をコンセントに繋ぎっぱなしにしていると、誘導雷で壊れるリスクがある。
雷サージ保護付きポータブル電源、現状はこの2メーカー
2026年3月時点で、雷サージ保護機能を公式スペックに明記しているのは EcoFlow と Jackery の一部モデルになる。
EcoFlow:IEC規格準拠で最大6,000V対応
EcoFlow DELTA 3 1000 Air と EcoFlow DELTA 3 2000 Air が対象製品。
IEC 61000-6-51に準拠した耐雷サージ保護を搭載している。
ライン-アース間で最大6,000Vに対応。EcoFlowによると、業界標準の3倍にあたる数値とのこと。
落雷リスクのある悪天候時でも、本体と接続機器の両方を保護できる設計になっている。
現時点でもっとも高い雷サージ耐性を持つ製品群といえる。
Jackery:モデルごとに対応電圧が異なる
Jackery は複数製品に雷サージ保護を搭載している。ただしモデルによって対応レベルが違う。
Jackery 1500 New と Jackery 3600 Plus は最大3,000Vのサージ防護機能を備えている。
Jackery 600 New も雷サージ保護を搭載しているが、対応電圧は公式スペックに明記されていない。
Jackery 5000 Plus はライン間1,000V、アース間2,000Vの耐サージ電圧に対応。Jackery Labの雷サージ耐性試験による数値になる。
同じJackeryでも機種によって保護レベルが異なっている。
購入前にスペックシートの確認を勧めたい。
雷サージ保護付きポータブル電源 比較表
最終更新日:2026/03/05
| 製品名 | 容量 | 定格出力 | 雷サージ耐性 | 価格 |
| EcoFlow DELTA 3 1000 Air | 960Wh | 500W | ≤6,000V | 87,700円 |
| EcoFlow DELTA 3 2000 Air | 1920Wh | 1000W | ≤6,000V | 134,700円 |
| Jackery 1500 New | 1536Wh | 2000W | 最大3000V | 149,800円 |
| Jackery 3600 Plus | 3,584Wh | 3,000W | 3,000V | 359,800円 |
| Jackery 5000 Plus | 5040Wh | 6000W | ライン間1000V / アース間2000V | 799,000円 |
| Jackery 600 New | 640Wh | 500W | 不明 | 86,000円 |
搭載していない製品はどうなる?

雷サージ保護を搭載していないポータブル電源は、コンセントに繋いだ状態で誘導雷を受けると本体が損傷するリスクがある。
対策は2つ。雷サージ対応タップをコンセントとの間に挟むか、雷が来る前にコンセントから抜くか。
後者がもっとも確実だが、不在時にはできない。タップとの併用が現実的な選択になるだろう。
そもそも雷サージとは?3つの種類と危険度
ここでは雷サージの種類を整理しておく。どこまで防げるかを正しく判断するための前提知識になる。
直撃雷サージ:防ぎようがないレベル
送電線や建物に雷が直接落ちるケース。標準的な雷(約3万A)でも100万V以上の電圧が発生する。
この規模は、どんな保護デバイスでも吸収しきれない。ポータブル電源でもタップでも防げないと考えてほしい。ただし個人宅への直撃は、確率としてはかなり低い。
誘導雷サージ:もっとも警戒すべき相手
近くの建物や木への落雷で発生する電磁界が、配電線に電圧を誘起するパターン。
PC・家電の雷被害の大半はこの誘導雷が原因になっている。
直撃雷ほどの電圧ではないため、サージ保護デバイス(SPD)やMOV搭載の保護機器で防げる可能性がある。
ポータブル電源の雷サージ保護も、この誘導雷レベルを想定した設計といえる。
逆流雷(侵入雷):アースから逆流
避雷針への落雷時に、大地を経由してアースから電流が逆流する現象。
山間部の通信設備に多く、都市部の一般家庭では頻度が低い。
雷だけじゃない。停電を引き起こす原因
電力トラブルには瞬低(瞬時電圧低下)、瞬停(瞬間停電)、停電の3種類がある。
瞬低・瞬停の7〜8割は落雷が原因になっている。ほかにも台風の飛来物、大雪による断線、鳥の営巣、車両の電柱衝突なども停電を引き起こす。
見落としがちなのは停電からの復旧時。復旧時に過電流が発生するリスクがある。
停電中はポータブル電源を含む電気製品のコンセントを抜いておきたい。
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日本の停電は少ない?多い国はどこ?(サイト内ページへ)
「UPS機能付き=雷にも安心」は誤解
ポータブル電源のUPS機能と雷サージ保護は、まったく別の機能になっている。
UPS機能は停電時にバッテリーへ自動切替する仕組み。電力の「途切れ」には対応できるが、コンセントから侵入する異常電圧を吸収する機能ではない。
雷サージ保護はバリスタ(MOV)などの素子で異常な過電圧を吸収・遮断する仕組み。コンセントの雷サージ対応タップに使われているのと同じ技術になる。
UPS機能付きポータブル電源でも雷サージ保護がないモデルは珍しくない。
「UPSがあるから大丈夫」と思って繋ぎっぱなしにしていると、雷サージで本体が壊れる可能性がある。
雷サージ保護の有無を見分けるポイント
「サージ」という言葉に惑わされないよう注意したい。チェックすべきは2点ある。
1つ目は、耐サージ電圧の数値が明記されているか。
「6,000V」「3,000V」のように具体的な数値があれば、雷サージ保護が実装されていると判断できる。
2つ目は、IEC 61000-6-5などの規格準拠があるか。
国際規格に準拠していれば、テスト済みの保護性能と考えてよいだろう。
「過電圧保護」だけの記載では、BMS内のバッテリー保護を指している場合が多い。コンセントから侵入する雷サージの吸収とは技術的に異なる。
雷サージ対応タップとの併用が現実的
雷サージ保護を搭載した製品でも、雷サージ対応タップとの併用がもっとも安心といえる。
雷サージ対応タップ は600〜4,500円で導入できる。MOV(バリスタ)で誘導雷レベルのサージを吸収する仕組み。
オフィスでは、「エレコム 電源タップ コンセント 3口 雷ガード(T-KTR01WH)」を使っています。600円と安いので、気軽に入れ替えることができる。

ただし注意点が2つある。
1つ目は消耗品だということ。
サージを受けるたびにバリスタが劣化し、保護機能が失われていく。一度の大きなサージで壊れることもある。LED表示付きを選び、3〜5年で交換するのが望ましい。
2つ目は停電には無力だという点。
サージは防げても、電力が途切れたらPCは落ちてしまう。
ベストは「雷サージ対応タップ+雷サージ対応ポータブル電源」の二段構え。
タップでサージの第一波を吸収し、その先にポータブル電源を配置する。
仮にタップのバリスタが劣化していても、ポータブル電源側の雷サージ保護がバックアップとして機能する。
私の雷対策:Mac Miniとポータブル電源の運用実例
私の在宅環境での接続構成はこうなっている。

壁コンセント → 雷サージタップ → ポータブル電源 → Mac Mini
パススルー充電でバッテリーは80%を維持した状態。
普段はコンセントからの電力で駆動している。
雷雲が近づいたら、やることは1つだけ。ポータブル電源のACプラグをコンセントから抜く。

Mac Miniはバッテリー駆動に切り替わり、サージの侵入経路を物理的に遮断できる。もっとも確実な防御手段といえる。
停電が長時間にわたる場合は、バッテリーが空になる前に他のポータブル電源かソーラーパネルでチャージする。
弱点は不在時に対応できないこと。外出中に雷が来ても抜けない。
そのため雷サージタップを第一防御として設置している。
UPS機能付きなら不在時の停電でもバッテリーに自動切替される。
PCの急なシャットダウンは防げるだろう。ただしサージの侵入リスクは残るため、タップとの併用が前提になる。
よくある質問
雷サージ保護について、個人的に疑問に思った点を2つ取り上げておきます。
Q. 3,000〜6,000Vの雷サージ保護って、本当に効果あるの?
効果はある。直撃雷(数万〜数十万V)には無力だが、問題は直撃雷ではない。
住宅のコンセントに到達する誘導雷サージは、一般的に数百V〜6,000V程度の範囲。
国際規格IEC 61000-4-5(サージイミュニティ試験)でも、住宅環境のカテゴリ2で最大4kVを想定している。ライン-アース間の数値になる。
つまり6,000V保護があれば、住宅コンセント経由の誘導雷サージはかなりの割合をカバーできる。3,000Vでもカテゴリ2の大半はカバー圏内といえる。
「お守り程度」ではなく、IECの試験レベルに照らしても実用的な水準ではないだろうか。
ただし注意点がある。この保護はAC入力側、つまりコンセントからの充電時に対するもの。
ソーラーパネル接続時に長いケーブルを屋外に引き回すと、ケーブル自体がアンテナになってサージを拾う可能性がある。DC入力側にもサージ保護が実装されているかはメーカー次第。
バッテリー単体で使用している場合は、外部からの電気的経路がない。サージの心配は不要と考えてよい。
Q. 3,000〜6,000Vの保護って、一般的なPC用UPSと比べてどうなの?
実は同等クラスになる。APC Back-UPSやCyberPowerの普及帯モデルも、最大サージ耐量は6,000V前後(IEC 61000-4-5準拠)。
サージ吸収エネルギーは数百〜1,000ジュール程度。保護素子はMOVが主流になっている。
数値だけ見れば、EcoFlow DELTA 3 Airシリーズ(6,000V)は一般的なPC用UPSと同等水準にある。
Jackeryの3,000Vモデルでも、住宅環境で想定される誘導雷の大半はカバーできるだろう。
ただしサージ保護が同等でも、UPSの代わりにはならない場面がある。
UPSの本質は瞬断ゼロの無停止給電。常時インバータ方式なら切替時間0ミリ秒でバッテリーに切り替わる。
一方、ポータブル電源のパススルー充電では事情が異なる。AC入力が途切れた瞬間に数十ミリ秒のギャップが生じる可能性がある。
HDD書き込み中やOS更新中の瞬断は致命的になりかねない。PCのサージ+停電保護にはUPSが必要といえる。
冷蔵庫やテレビなど瞬断で壊れない家電のサージ保護には、ポータブル電源で十分機能する。用途に応じた使い分けが大切ではないだろうか。
UPSとポータブル電源の違いをもっと詳しく知りたい方は、「ポータブル電源で雷からPCを守れるか?専用UPSとの比較(近日公開予定)」で給電方式ごとの保護性能や価格帯の比較を解説している。あわせて参考にしてほしい。
まとめ:ポータブル電源を雷から守る3つの方法

方法1:雷サージ対応タップを設置する
もっとも手軽で費用対効果が高い。LED付きを選んで定期交換を。雷サージ保護非搭載のポータブル電源を使っているなら、必須といえる。
方法2:雷サージ保護搭載の製品を選ぶ
EcoFlow DELTA 3 Airシリーズ(6,000V対応)やJackery 1500 New / 3600 Plus(3,000V対応)など。タップとの二重保護で安心度が上がる。
方法3:雷が来たらコンセントを抜く
物理的な遮断が最強の対策。在宅時はこれに勝る方法はない。ポータブル電源のバッテリーに切り替えれば、作業も中断しなくて済む。
直撃雷は防ぎようがないが、確率は極めて低い。
誘導雷への備えをしっかり組み合わせれば、大切なポータブル電源とPCを守る十分な防御ラインが構築できるはず。
梅雨明けの雷シーズンが来る前に、自分の環境を見直してみてほしい。

